2017年6月25日日曜日

霊訓(Spirit Teachings)2

世界心霊宝典〈第1巻〉霊訓 (1985年)(国書刊行会)
 
コスモ・テン・パブリケーションのものと内容は同じですが、近藤さんは『あとがき』にこう記しています。


・あとがきより

今こうして上梓するに当たり、その名誉をよろこぶと同時に、こうした訳し方でよかっただろうかという一抹の不安と不満禁じ得ない。

もっと平易な現代語に訳すことも出来たであろう。

訳者も当初それを試みてはみた。

が原典のもつあの荘重な雰囲気を出すには現代語では無理と判断し、結果的にこうした形に落ち着いた。

この最大の要因は、この霊界通信が単なる霊的知識の伝授ではなく、霊媒のモーゼスと指導霊イムペレーターとの壮絶とも言うべき知的並びに人間的葛藤の物語であり、そこに両者の個性がむき出しになっている点にある。

そこにこそ本霊界通信の、他に類を見ない最大の魅力があり、その生々しさを表現するには文体を操るしかないと判断したのである。


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ということで、コスモ・テン・パブリケーション発行のものと比べて、文語調のかたい文体となっています。


・本文より

一人の向上心に燃える魂の熱望に応えて授けられたるものを当人は万人に等しく分け与えられるべきものと思い込む。

そこで宝石が小箱より取り出され、一般に披露される。

ユリの花が切り取られて人前に飾られる。

とたんに純粋さが失われ、生気が半減し、萎縮し、そして枯死する。

彼にとってあれほど美しく愛らしく思えた真理が忙しなき生存競争の熱気と埃の中で敢えなく新鮮味を失いゆくのを見て驚く。

己の隠れ処においてはあれほど純にして真なるものが、世に喧伝されると見る間に精彩を失い、場違いの感じを受けることに驚異を覚える。

彼がもし賢明であればこう悟る_ヘルモンの露は魂の静寂と孤独の中でこそ純化されるものであること、花は夜の暗闇の中でこそ花弁を開き、真昼の光の中では萎むものであること、即ち至聖にして至純なる真理は霊感によりて魂より魂へと密かに伝達されるものであり、声高らかに世に喧伝さるべきものではない、と。


※ヘルモン(Mount Hermon):シリアとレバノンの間に位置する山脈の最高峰。


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